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パナソニックがパナホームを完全子会社化--重点領域「住宅事業」を徹底強化へ
パナソニックは、2017年8月1日付けで、パナホームを完全子会社化すると発表した。パナソニック株式1に対して、パナホーム株式0.80を割り当てる株式交換を行い、これにより、6150万5717株を交付する。
2017年6月に開催予定の株主総会で決議後、株式交換を行い、パナホームは、7月27日に上場を廃止する予定だ。両社では、成長戦略検討委員会を発足して、約2カ月間という短期間で、今後の成長に向けた両社の協業のあり方を議論していくという。

パナソニックとパナホームは、成長戦略検討委員会を発足して推進する
パナホームは、1963年に松下電器産業(現パナソニック)と、松下電工(のちのパナソニック電工)の共同出資により、ナショナル住宅建材として設立。1982年にナショナル住宅産業に商号変更を変更。2002年10月には、販売、物流、建設、サービスを行う主要連結会社28社を統合するとともに、商品ブランドと同じパナホームに社名を変更。パナソニックグループの住宅事業を担う中核企業に位置づけられてきた。

パナソニックの住宅事業への想い
また、2016年には、パナソニックとパナホームの共同出資により、パナソニックリフォームを設立。市場拡大が見込まれるリフォーム事業のブランドを「Panasonicリフォーム」に一本化していた。
パナホームは、パナソニックの創業者である松下幸之助氏の「住まいは人間が生活していく上で最も大切なもの、それにふさわしい良い家をつくりたい」という強い使命感から設立された経緯がある。
パナソニックでは、パナホームが長年培ってきた住宅設計や建築技術、部材・施工品質マネジメント力と、パナソニックの住宅設備事業を中心とした住まいづくりのノウハウや技術力を活用。パナソニックとパナホームの経営資源を共有、活用しながら、オールパナソニック体制で、顧客ニーズに、迅速および的確に応えることで、国内におけるシェア向上、海外市場におけるさらなる事業展開のほか、人材不足の解消、販売管理費の低減などの効果が見込め、重点領域である住宅事業を強化できるとしている。
具体的には、パナソニックが保有するブランドなどの経営リソースの有効活用が進み、顧客への認知度向上のほか、街づくり事業、リフォーム事業、エイジフリー事業、海外事業などの重要事業で顧客への「お役立ち」を高めることが可能になるとしている。特に、統一的なパナソニックブランド戦略に基づいて、家電、設備と、住宅建築技術の融合による住空間創出、スマートハウスにおけるIoTの技術開発などの強化が期待できるとする。

パナソニックグループの住宅事業領域
また、パナソニックが保有する海外ネットワークやグローバル人材と、パナホームの設計、建築ノウハウを組み合わせることで、ASEAN地域を中心とした海外事業展開の加速につながるとする。さらに、パナソニックの信用力を有効活用することで、M&Aの実行や、資本・業務提携など、パナホーム単独では困難であった大規模な投資の可能性が広がるほか、パナソニックグループ間における会社の垣根を越えた形で、経営資源の最適化、迅速な再配分が容易になり、パナソニックグループとしての重要事業に対するリソースの重点投入などが期待できるとしている。そのほか、共通インフラ活用による間接部門のコストダウンや効率化、パナソニックグループ企業としての新卒採用強化および専門分野における人材補強、パナソニックの国内外販売ルートを活かした大型案件紹介の拡大といったグループシナジー効果を早期に最大化できるとのメリットがあるという。
リフォーム事業を重視し付加価値を持った商材を提案
12月20日午後7時から開かれた会見で、パナソニック 代表取締役専務の吉岡民夫氏は「パナソニックとパナホームの間には、一部製品において競合関係があった。販売ルートに対する慎重な姿勢から、踏みとどまっていた。言い替えれば、完全子会社にしてまで新たなものを作るところまで踏み込んではいなかった。新築着工が減少するなかで、価値の高い住宅や住空間を提供するためには、両社の製品を組み合わせていく必要があると考えた」とコメント。
「パナソニックがパナホームを完全子会社化することにより、パナソニックにおける重点領域である住宅事業を強化でき、パナホームの企業価値向上に資するだけでなく、パナソニックグループ全体の企業価値の向上のためにも非常に有益であるとの考えで、両社の見解が一致したことから、本株式交換を決定した。成長戦略を目指すための決断である」と続けた。
また「創業者は、自分自身がやってみたい事業が住宅事業であるとして、パナホームを設立した。1959年には、社会に大量の優れた性能の住宅を供給することは国家的見地から急務であり、それには松下電工の製品で家を作り、松下電器の住宅用設備機器で完成させることこそ理想としてきた。この思想は、現在のブランドスローガンである『A BetterLife,A Better World』にも受け継がれ、住宅事業分野にも適用されている。
2015年の住宅事業の売上高は1兆3000億円だが、中長期的には、新築住宅着工件数は減少すると見られており、両社の一体経営の実践が必要である。経営資源の最大活用により、これまで以上に機動的かつ迅速な意思決定が必要である。リフォーム事業、エイジフリー事業、住空間事業、ゼロエネルギー住宅、街づくり事業、ASEANにおける住宅事業を成長分野とし、住宅事業において、『新・くらし文化』を創造していく」と述べた。
また、パナホームの代表取締役・取締役社長である松下龍二氏は「不動産、マンション分譲については、パナソニックとのコラボレーションをさらに加速していく。住宅内の製品と連動した住宅開発ができるといったメリットがある」とした。
なお、パナホームブランドについては「大事に慎重に考えたい。だが、海外ではパナソニックブランドが通用しており、現時点でもパナソニックの住宅という形で提案している。国内では当面パナホームのブランドを活用する」(パナソニックの吉岡代表取締役専務)とした。
また、2015年度の売り上げ実績は1兆3000億円規模だが、2018年度の売り上げ計画は1兆6000億円としており、その計画自体は変更しない。住宅事業の営業利益率は5%に達していないが、吉岡氏は「リフォーム事業を重視することで、付加価値を持ったハウジング商材の提案を加速。利益率の向上を図る」とした。

左からパナホームの代表取締役・取締役社長である松下龍二氏、パナソニックの代表取締役専務の吉岡民夫氏